今回は交流と直流の違いについて説明します。
こんな方におすすめ
- 直流(DC)と交流(AC)の違いについて知りたい
- 直流(DC)の交流(AC)について、それぞれ特徴を知りたい
電気の流れる向き・電流・電圧が変わるのが交流(AC)、変わらないのが直流(DC)
直流と交流の違いは、電気の流れる方向・電圧・電流が変わるものが交流(AC)、変わらないものが直流(DC)です。
上図において、プラスとマイナスが交互に入れ替わっている波形が交流の波形、プラスだけの波形が直流です。
このように、交流はプラスとマイナスを交互に変えながら流れています。
一方、直流は流れる方向が常に1方向のみの流れ方をしています。
ちなみに、直流は必ずしもプラスだけとは限らず、マイナスの電圧もあります。
流れる方向が常に同じ方向で流れるのが直流です。
次は交流と直流それぞれについて、詳しく説明します。
交流(AC)は電気の流れる向き・電圧・電流が変わる
「交流」は、電気の流れる向き・電圧・電流がプラス(+)とマイナス(-)を交互に変えながら流れています。
ちなみに、交流が使用されている場所はご存じですか?
例えば、家庭で使用しているコンセントは交流です。
上の図は「交流」を表した図形です。
高校でサインやコサインなどの三角関数を勉強された方は、このグラフに見覚えがあるかもしれません。
交流波形は正弦波、いわゆるサインで表される事が多いです。
交流は英語で「Alternating Current」と書きます。
「Alternating」は日本語で「交互の」、「Current」は「流れ」という意味です。
「Alternating Current」、略して「AC」と呼ばれます。
ご家庭で使用される電化製品の電源プラグは、どちらの向きに挿しても使用できますよね?
どちらの向きに挿しても使用出来るのは、プラスかマイナスどちらの状態でも壊れないように設計されているからです。
電化製品内部、もしくはACアダプターではそのように設計されています。
ACアダプターの仕組みについての説明した記事があるので、内部の仕組みが気になる方はこちらも合わせてご覧ください。
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交流(AC)のメリットは、直流と比べて変圧が容易なこと
交流(AC)のメリットは、変圧が容易であることが挙げられます。
「変圧」とは、電圧を変換することです。
変圧は、コイルの誘導起電力を利用しています。
上の図は交流変圧器の構造で、鉄心にコイルを巻き付け、このコイル(1次コイル)に電圧をかけると、磁界が発生します。
反対側のコイル(2次コイル)はその磁界の影響を受けて、電圧がかかります。
交流のように電圧が変化する場合、2次側のコイルも常に電圧がかかる状態です。
直流は1方向にしか電圧がかからないため、2次側のコイルは1度しか電圧がかからないという事になります。
交流の常に変化するという特性を利用して、変圧を容易なものにしています。
交流(AC)のデメリットは電圧が安定しないこと
交流のデメリットは電圧が安定しないことです。
交流は図のように常に値が変化しています。
これにより変圧しやすいですが、逆に電圧が安定しないという事になります。
家庭用のコンセントは100Vが一般的ですが、平均的に100Vを得るために100Vより大きい電圧をかけています。
豆知識コーナー
豆知識1
コンセントには左右で穴の大きさが異なるってご存知ですか?
一般的には左の大きな穴が9ミリ、右の穴が7ミリとされています。
左の大きな穴が「接地(アース)」で、何かしらの影響で異常な電気が流れたとき、電気を逃がす役割をしています。
右の小さい穴は「電圧」側で、アクティブな電気が流れてくる側です。
豆知識2
多くの家庭では「単相3線式(線の色は赤・白・黒)」という方式で電線が引き込まれています。
赤と黒の電線を「電圧線」、白い電線を「中立線」と呼び、「赤ー白」もしくは「黒ー白」ならば100V。
「赤ー黒」の組み合わせならば200Vの電圧を得ることが出来ます。
普段使用するコンセントは100Vですが、大型エアコン(14,6畳~)や、電気自動車の給電設備などは200Vで駆動しています。
電圧を高くすることで電気を押し出す力が強くなるので、より短時間で冷やしたり、充電する事が可能になります。
交流(AC)のまとめ
交流のポイント
- 家庭のコンセントは交流
- 交流は電圧や電流がプラスとマイナスを交互に変わりながら流れている
- 交流は「AC」と呼ばれる(Alternating Currentの略)
- 交流のメリットは変圧が容易
- 交流のデメリットは電圧が安定しない
直流(DC)は電気の流れる向きが変わらない
上の図は直流の波形を表しています。
このように直流は電気の流れる向きが変わりません。
直流はどの製品に使用されているでしょうか?
スマートフォンやリモコンなど、乾電池やバッテリーで動く製品の多くは直流で動いています。
直流は英語で「Direct Current」と書き、略して「DC」と呼ばれます。
この場合の「Direct」は「(進行方向が)真っすぐな」という意味が適切です。
「Current」は「流れ」という意味で、「Direct Current」で「流れる方向が決まっている電流」です。
直流で動作する物は電圧がいくつか決められています。
筒状の乾電池(単●)は1.5V、USBは5Vです。
もし直流電源(電池)を反対につなげるとどうなりますか?
「ダイオード」と呼ばれる一方向にしか電流を流さない部品を挿入するなど、逆流防止の設計がされている場合があります。
しかし、そのような逆流防止の設計がされていなければ壊れてしまいます。
また、直流で動くモーターに関しては電流を流す向きを変えると、回転方向も逆回転になります。
この特性を活かし、モーターに流す電流の方向を切り替え、モーターの回転方向を制御する事もあります。
直流モーターの仕組みを説明した記事もあるので、合わせてご覧ください。
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直流(DC)のメリットは流れる向きや大きさが一定であること
直流のメリットは流れる向きや大きさが一定であることです。
これは直流の特性そのものですが、交流のように流れる向きや値が変化してしまうと、その変化に耐えうるような設計や部品選定が必要になります。
直流(DC)のデメリットは変圧が難しいこと
直流のデメリットは変圧が難しいことです。
交流のように常に電圧が変化する波形であれば、コイルの誘導起電力を利用して変圧する事が容易です。
しかし直流の場合、コイルに電圧をかけても1度しか電圧が発生せず、連続して電圧を得ることができません。
直流で変圧する場合には、ONとOFFを高速に切り替える事により電圧を平滑化させるといった方式があります。
直流(DC)のまとめ
直流のポイント
- 乾電池やUSBなどは直流。
- 直流は流れる方向は変わらない。
- 直流は「DC」と呼ばれる。(Direct Currentの略)
- 直流のメリットは向きや大きさが一定
- 直流のデメリットは変圧が難しい
交流(AC)と直流(DC)の違いとそれぞれ特徴まとめ
交流のポイント
- 家庭のコンセントは交流。
- 交流は電圧や電流がプラスとマイナスを交互に変わりながら流れている。
- 交流は「AC」と呼ばれる(Alternating Currentの略)
- 交流のメリットは変圧が容易
- 交流のデメリットは電圧が安定しない
直流のポイント
- 乾電池やUSBなどは直流。
- 直流は流れる方向は変わらない。
- 直流は「DC」と呼ばれる。(Direct Currentの略)
- 直流のメリットは流れる向きや大きさが一定
- 直流のデメリットは変圧が難しい