現役ハードウェアエンジニアが電気や電子工作を紹介

回路のキホン~直列回路~【中学生におすすめ】

回路は好き?嫌い?

みなさんは回路にどのようなイメージがありますか?
回路は苦手意識を持つ人が多いと思います。
今回は基本となる直列回路に関して、分かりやすく説明します。

こんな方におすすめ

  • 回路が苦手な中学生、苦手だった方々
  • お子さんに教え方が分からないご両親

私は電気設計をしており、昔は塾講師もしていました。
当時から回路を苦手とする子が多く、理由は電気は目に見えないだと思っています。
イメージしやすくするため、電気は水にに例えます。

 

回路を水路に例えよう

この回路を例にします。

抵抗が一列に繋がっている、いわゆる直列回路です。
ではこれを水に例えてみます。

電池 水を高い位置まで運ぶポンプ
電圧 地上からの高さ
電流 1秒間に流れる水の量
抵抗 水の流れに逆らう水車

このようなイメージになります。

サンダー
直列回路では水路は一つしかないので、流れる水の量はどこも同じです。

つまり、直列回路では流れる電流はどこも等しくなります。

流れる水の量は同じなのに、大きい水車と小さい水車を動かす力の差は何ですか?

 

水で例えると高さに差があります。つまり電気ではそれぞれの抵抗にかかる電圧に差があります。

大きい水車には高い位置から、小さい水車は低い値から流すように分けることで両方の水車を動かすことが可能になります。
これを電気回路に戻して考えます。

 

オームの法則

サンダー
回路の公式で思い当たる公式はありますか?

オームの法則なら何とか…

実は「オームの法則」を答えられた方は、電気をほとんどを理解しているようなものです。

私がしている電気の仕事でもオームの法則だけで説明できることが多く、それだけ分かりやすい世界なのです。
ではオームの法則が分からない、忘れてしまったという方のために復習です。

 

オームの法則の公式 E(V)=I×R

ですね。
E(V)は電圧で単位はV(ボルト)
Iは電流で単位はA(アンペア)
Rは抵抗で単位はΩ(オーム)です。

 

演習問題

ではさきほどの回路の問題をやってみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

直列の場合、流れる水の量は同じでした。つまりどちらも流れる電流は同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

例題では抵抗が異なるので、大きさの異なる水車が2個ある事になります。

大きな水車には高い位置から、小さな水車は低い位置から水を流してあげます。

高低差は電圧の差に等しいので、値が大きい抵抗には大きな電圧、小さい抵抗には低い電圧がかかります。

という事は,それぞれ抵抗にかかる電圧は異なります。

 

 

 

 

 

 

 

 

では6Ωの抵抗にかかる電圧をE1、3Ωの抵抗にかかる電圧をE2とします。
流れる電流は同じなので、どちらも電流Iが流れます。それをオームの法則に代入します。

E1=I×6・・・①

E2=I×3・・・②

 

ここでポンプで上げた高さと、水車を動かすために落下した水の高さは同じです。
つまり電源電圧(=9V)と、各抵抗にかかる電圧の和(E1+E2)は等しくなります。

9=E1+E2・・・③

となります。

③の式に①と②をそれぞれ代入します。

9=E1E2

9=I×6I×3 ※①はE1=I×6、②はE2=I×3

9=I×(6+3) ※共通因数の「I」で因数分解しています。

9=9×I

I=1

よって流れる電流は1A(アンペア)となります。

ココがポイント

直列回路は流れる電流が同じ!

それでは各抵抗にかかる電圧も計算してみましょう。
6Ωの抵抗にかかる電圧E1は①の式「E1=I×6」にI=1を代入します。

E1=1×6

なので6V。
3Ωの抵抗にかかる電圧E2は②の式「E2=I×3」にI=1を代入して、

E2=1×3

なので3Vとなります。

まとめ

ココがポイント

  • 直列回路は流れる電流が同じ(①)
  • 電源の電圧と、各抵抗にかかる電圧の和は等しい(②)
  • 大きい抵抗には高い電圧がかかり、小さい抵抗には低い電圧がかかる(③)

↓ 水に例えると…

ココがポイント

  • 一本道なので、流れる水の量はどこも同じ(①)
  • ポンプで上げた高さと、水車を回すために落下した高さの和は同じ(②)
  • 大きい水車には高い位置から、小さい水車は低い位置から水を流す(③)

抵抗が一列に並んでいるのが直列回路、抵抗が複数列に並んでいるのが並列回路です。

並列回路についてはこちらに書いてありますので、ぜひ読んでみてください。

回路のキホン~並列回路~

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