


この記事ではアノードコモンとカソードコモンの使い分けと違いについて説明します。
LEDのアノードとカソードについてとその見分け方
「アノードコモン」と「カソードコモン」について説明する前に、LEDのアノードとカソードについて説明します。
LEDは正しい向きがあり、向きを間違えると光らないというのはご存知ですか?
LEDは日本語で「発光ダイオード」と呼び、「ダイオード」は一方向のみ電流を流すという特性があり、発光ダイオードであるLEDもその性質がありますよ。
LEDのプラス側を「アノード」、マイナス側を「カソード」と呼びます。
砲弾型LEDの場合は、足が長い方が「アノード」、足が短い方が「カソード」です。
基板実装タイプのチップLEDは切り欠きがある方が「カソード」が一般的ですが、物によっては「アノード」側に切り欠きがある場合もあるので、LEDのデータシートを確認してください。
LEDの意味や正しい向きについてはこちらの記事で詳しく説明しているので、合わせてご覧ください。
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LEDのアノードコモンの説明と使い方について
アノードコモンについて
アノードコモンはアノードがコモン、つまりアノードが共通という意味です。
フルカラーLEDを例にします。
フルカラーLEDの場合、上図のようにアノードが1つ、カソードが3つあります。
このようにアノードを共通で使用するLEDをアノードコモンと呼びます。

アノードコモンはLEDを吸い込み(シンク電流)で光らせる場合などで使用
アノードコモンはLEDを吸い込み(シンク電流)で光らせる時などに使用します。
アノードコモンをマイコンなどICと繋ぐ場合、5Vなど外部電源をアノード、カソードをICの出力端子に接続します。
ICの出力端子をLowレベルに落とす事で、LEDに電流が流れてLEDが光ります。
ICの出力 | LEDの状態 |
---|---|
High | 光らない |
Low | 光る |
このようにICの出力をLowレベルに落とし、吸い込みで流す電流を「シンク電流」と呼びます。
一般的にマイコンなどは吸い込みで光らせる「シンク電流」の方が電流を多く流せる場合が多いです。
アノードコモンの7セグメントLEDについて
7セグメントLEDのアノードコモンについても、基本的には使い方は同じです。
フルカラーLEDの場合は赤、緑、青色3つのLEDが並んでいます。それに対し、7セグメントLEDはセグメントLEDが7つ、ドットを光らせるLEDが1つの計8つがひとまとめになっていると考えてください。
アノードコモンの7セグメントLEDをマイコン(Arduinoなど)で光らせる場合には下記のような接続となります。
機能名 | 接続先の例 |
---|---|
セグメントA | Output 0 |
セグメントB | Output 1 |
セグメントC | Output 2 |
セグメントD | Output 3 |
セグメントE | Output 4 |
セグメントF | Output 5 |
セグメントG | Output 6 |
ドットLED | Output 7 |
アノードコモン | 電源(5Vなど) |
回路図で表すと、下記のようになりますね。
このように、アノードコモンの7セグメントLEDも吸い込み電流(シンク電流)で光らせるときに使用します。
LEDのカソードコモンの説明と使い方について
カソードコモンについて
カソードコモンはカソードが共通となります。
フルカラーLEDでは、上図のようにアノードが3つ、カソードが1つあります。
このようにカソードを共通で使用するLEDをカソードコモンと呼びます。
それでは、カソードコモンLEDの使い方について説明します。
カソードコモンはLEDを吐き出し(ソース電流)で光らせる場合などで使用
カソードコモンは、マイコンなどのICと繋ぐ際、LEDのアノードをICの出力端子に接続、カソードをGNDに接続します。
このとき、ICno出力端子をHighレベルにすることで、LEDに電流が流れてLEDが光ります。
ICの出力 | LEDの状態 |
---|---|
High | 光る |
Low | 光らない |
吸い込みで流す電流を「シンク電流」と呼ぶのに対し、このように吐き出して流す電流を「ソース電流」と呼びます。
出力のイメージとしては、吸い込みで光らせる「シンク電流」よりも、吐き出しで光らせる「ソース電流」の方が制御するイメージはシックリ来るかもしれません。
しかし、一般的にはLEDを吸い込みで光らせる「シンク電流」で光らせる事が多いです。
理由としては、マイコンは一般的に吐き出す「ソース電流」よりも、吸い込む「シンク電流」の方が多く電流を流すことができます。
また、シンク電流は外部電源から供給するので、マイコンの動作もシンク電流の方が安定します。
LEDのアノードコモン/カソードコモンにするメリットはピン数を減らすため
これは単純にLEDのピン数を減らすためと言って良いと思います。
例として、フルカラーLEDのアノードとカソードを全て分けた場合を想定します。
その場合、赤、緑、青それぞれでアノードとカソードが2つずつなので、計6ピンになります。
これをアノードもしくはカソードをひとまとめにすることで、アノード(カソード)コモンで1ピン、それぞれ分けた先に3ピンで計4ピンとなります。
LEDの色 | アノード | カソード |
---|---|---|
赤色 | 1 | 1 |
緑色 | 1 | 1 |
青色 | 1 | 1 |
↓6ピン→4ピン
LEDの色 | アノード(カソード)コモン | それぞれ分離したカソード(アノード) |
---|---|---|
赤色 | 1 | 1 |
緑色 | 1 | |
青色 | 1 |
LEDのアノードコモンとカソードコモンの違いと使い分けに関するまとめ
ココがポイント
- アノードコモンはアノードが共通で、吸い込みのシンク電流で使用する
- カソードコモンはカソードが共通で、吐き出しのソース電流で使用する
- アノードもしくはカソードを共通(コモン)にすることでピン数を減らせる
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